基礎心理学フォーラム「共感覚と色情報処理」

【日時】

2020年1月25日(土)

13:00 受付開始
13:30 開会、企画趣旨の説明
13:35~14:35 講演 伊藤 浩介
14:40~15:40 講演 浅野 倫子
15:40~16:00 休憩
16:00~17:00 講演 栗木 一郎
17:05~17:20 指定討論 横澤 一彦
17:25~18:00 ディスカッション

【趣旨】

共感覚とは、単一の種類の情報が入力されているにも関わらず、別の種類の情報の知覚や認知も同時に生じる現象のことです。ここ数年、共感覚に関する新しい研究成果が続々と報告されています。日本基礎心理学会2019年度第2回フォーラムでは、こうした共感覚に関する研究成果のうち、特に色が同時に知覚される共感覚について3名の先生をお招きしてご講演いただくこととなりました。伊藤浩介先生(新潟大学)には、共感覚の定義に関する話題、浅野倫子先生(立教大学)には、色字共感覚に関する話題、そして栗木一郎先生(東北大学)には色情報の脳内表現に関する話題について、それぞれご講演いただきます。最後に、横澤一彦先生(東京大学)には、指定討論者として議論にご参加いただきます。多数の皆様のご来場を心よりお待ちしております。

【企画】白井 述(新潟大学)・中嶋 豊(新潟大学)・新美 亮輔(新潟大学)

【司会】白井 述(新潟大学)

【指定討論】横澤 一彦(東京大学)

【講演概要】
伊藤 浩介(新潟大学)


「共感覚とは何か?―再定義の試み」
 共感覚の定義を専門の研究者に尋ねると、誰からもほぼ似たような答えが返ってくるが、同時に、その詳細には差異があることがほとんどだ。つまり、共感覚とは何なのか、定義がはっきりと定まっていないのである。そのため、ある“共感覚のような現象”があった場合に、それが共感覚なのか、そうでないのか、研究者によって意見が食い違うことが生じる。例えば、ピッチが高いと明るく感じる現象は、これを共感覚とみなすか、みなさないかで、論争が続いている。
 定義が定まらないということは、共感覚についての本質的な理解が不足していることに他ならない。そこで本講演では、共感覚とは本当は何なのか、その再定義を試みる。共感覚の定義は、もともとは単純で限定的だったが、研究が進むにつれて拡大の一途をたどり、様々に分化した変種が存在するに至っている。これらをひろく分析し再統合することで、共感覚の本質について考える機会としたい。

浅野 倫子(立教大学)


「色字共感覚:色と文字と学習の結びつき」
 文字に対して、その物理的な色とは独立に、特定の色の印象を感じることを色字共感覚といい、少数の人がこの認知処理特性を持つ。文字の色(共感覚色)は自動的かつ意識に上る形で経験されるなど、知覚処理と類似した側面を持つことが知られている。しかしその一方で、近年の研究により、色字共感覚は脳内の感覚・知覚処理の単なる「混線」ではなく、言語などの高次認知処理が密接に関わる複雑な現象であることも明らかにされてきた。また、色字共感覚が文字の学習の補助として働きうる可能性も指摘されている。この講演では、色字共感覚と言語処理や文字学習との関連についての知見を中心に紹介しつつ、共感覚色は文字に付随するさまざまな情報のうちのいったい何に結び付けられているのかについて考える。そしてさらに、それらのような色字共感覚の「高次」に思える処理の側面と、知覚処理に似た「低次」に思える処理の側面の関係について議論したい。

栗木 一郎(東北大学)


「脳内における色情報の表現形式について」
 我々は目を開けると容易に色を感じることができる。網膜には3種類の光センサーである錐体があり、光の波長に対するそれらの感度が少しずつ異なることにより、色の違いに関する情報が取得できる。ただ、色は波長と1:1に対応しない。照明の光が変化しても物体の色が大きく変わって知覚されない現象(色恒常性)はその証左であり、色の見え方が脳の中で決められていることを示している。一方、色について他者と情報を交換する際には主に色名を用いるが、「言葉で言い表しいくい色」というのも存在する。こうした色はどういう信号として脳の中で表現されているのだろうか?工業的に色を表す方法として、RGB (HSV)やCMYKといった表色系がある。さらに国際標準の色度座標/表色系も複数存在する。脳の中の色の信号はどの表色系に近いのだろうか。ヒトにおける心理物理実験や脳機能計測、さらにマカクサルにおける生理学的知見を参考に、この問題を考察してみる。

【地図】

新潟大学脳研究所 統合脳機能研究センター6F 中田記念ホール

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